おかげさまで創業110年
しあわせや 田尻木材株式会社 四代目半の田尻でございます。
先日、とあるお客様から、
私が2019年に書いたブログが家づくりに大きな影響を及ぼしたというお話を聞きまして・・・
嬉しいような、いやいや責任重大だなとちょっと氣を引き締めたりした、なんて事がありました。
せっかくなのでそのブログを2021年度版としてリニューアルして掲載しておきます。
以下、2019年版本文(一部修正変更してます)---
先日、私がお話をするセミナーをしていまして。
なんとなく話の流れで「住宅の最近の傾向」・・・早く言えば流行ですかね。
そんな話をしました。
いや、けっこうその時その時のいろんな流れってあるんですよ?
南欧プロヴァンス風が大流行した時期もありましたし。
高気密高断熱がもてはやされた時代から、
その「気密」という息苦しい言葉の反動で産まれた?空気グルグル循環系への流れとか、
デザインへの流れとか、
で。
今はなんて言うんですかね、規格化というか、パターン化への流れが起こってるときでしょうか。
※2019年時点。2021年現在では完全にその流れが強まっています
これは流行というか、必然性でもあるんですけどね。
今って「働き方改革」ってことで効率化が求められる時代になってるじゃないですか。
あと、全体的に家づくりに使える予算もデータを取れば低下傾向にあるので、
必然的にフルオーダーではなく、セミオーダーとか、パターン選択型という、
早く決まる分、安く済ませられる家の提案、という流れがあります。
もちろん弊社でもそういう取り組みは、ゆるくは何年か前から始まっています。
でも印象としては、ここ2年くらい加速してる感じですかね。
規格でも企画でもセミオーダーでもパターンでも建売でも、
私は個人的にはどれでも別に構わないと思ってまず。
ただ、それぞれの特性を理解した上で選ばなければいけないよ、
というコトをもっとちゃんと言うべきなんじゃないかなぁと思ってます。
これは私という住宅業界にどっぷり20年浸かった男の想いなんですけどね、
家づくりって
「住める」という意味では、
別になに建ててもそんなに変わらんと思うんです。
ごく一部にはヤバイのも存在しますが、
そりゃ値段が安けりゃそういうアヤシイのも混じってくるのは世の中の当たり前。
それなりのお値段がついてるモノで、
世の中でそれなりの規模やら知名度で営業している会社なら、
モノとしてはイマドキですからとても住めない、どうしようもないってことはないです。
(そういう意味では中古住宅+リノベという流れの方がよっぽどヤバイと思うけどなぁ)
※2021年現在、その想いはさらに強くなってます。
ただそれは、ぶっちゃけ新築だからそれなりに保つ、という意味で、
褒められるレベルだとは言ってないんですよね(汗)
でも、まぁ、住めないわけじゃないし。
イマドキなにつくっても、新築ならそこそこは快適にはなってるし・・・
前置きが長くなった、ここからが本題。
だけど、自分が手に入れようとしてる家づくりが、
どの程度、自分の求めてる「物事」と合ってるのか、
どの程度自分が満足できるのかどうか。
それは私はよくよく確認した方がいいと思ってます。
今、あえて「物事」と書きました。
家づくりとは、家という「物」を手に入れることを目指していますが、
しかし満足度については、
「物」では半分しか決まらないと思ってます。
傍目にすごく素敵ないい家に暮らしてる人はみんな満足してるか?
そうとも限らないですよ。
家づくりとは、「事」・・・
モノだけではなく、コト、
家づくりのプロセスも、満足度にメチャメチャ影響するんです。
建売狙いの人にはそもそも関係ない話ですが、
それなりに自分たちが要望した家に住みたいと思っている人には、
このプロセスはすごく大事なはずです。
でね。
この世の中の規格化の流れが、
その満足度にすごく影響しそうな気がするんですよねぇ。
都会みたいに建売が当たり前で、
「家を買う」という感覚で育った人ならいいけど、
長野県民はそういう感覚ではないと思うんだよね(もちろん個人差あり)
家づくりに関わる時間が「規格化」によって短くなる。
時間ってのは、満足度との関連性がそこそこあると思うんですよね。
(ホンネとしてはメッチャあると思ってる)
もちろん長きゃいいというわけではないです。
時間 × 質 ですかね。
一般的に言う規格化の流れってのは、このかけ算の答えを小さくしちゃいやすいんだよね。
期待値が低い人には全く問題ないんだけど、
それなりの期待値(希望、要望など)を持って家づくりに向かう人には
(建売感覚ではない長野県民はこっちが多い気がする)
自分が手に入れようとしてるものと、
実際得られるものとのミスマッチが起こりやすい気がするんです。
家づくりという大きなイベントでのミスマッチは、すごくイタいですよ。
でも住宅会社にとっての規格化住宅って、
早く言えば手間ヒマ掛けたくない家なので、
あんまりその辺を理解してもらう努力が出来てない。
というか、言いにくいわな、相反することなんだから。
私もここは悩むところもありますよ。
手間ヒマを以前よりはかけない進め方で、でも満足納得してもらおうと考えるんだからね。
(まぁそれは、フルオーダーが当たり前という環境にいたせいもあるだろうなぁ)
しあわせやとしてもこの規格化の流れはありますが、
しかし私たちは、家づくりのプロセスもとても大切にする会社です。
それだけに、私たちらしい家づくりの仕方はどこかに忘れないようにしたいですね。
--以下、2021年追記
実際これを書いた時から2年間、私たちもセミオーダーの家づくりをかなりやってきています。
セミオーダーって、ベースになる間取りがあってそれをアレンジ出来る家づくり。
ここで言う規格化された家に近いですね。
ある程度の標準的な間取りや仕様をつくっておくことで、一定のクオリティを保つことができますし、
今ではしあわせやの家づくりの半分以上を占めています。
でもフルオーダーの家づくりと出来映え、見劣りしないですね(汗)
(それもどうなんだ?と思うんだけどさ)
では、満足度はどうなったのか?
やってみて感じてるのは、
ぶっちゃけ、ある程度の所までは「やり方次第だな」と思うんですよ。
間取りをゼロから考えるよりは、ある程度のベースがあった方が、
家づくりという初めての出来事に取り組みやすいのは事実。
また家づくりをする世代のニーズもそういう流れになっている。
それであっても
時間 × 質 = 満足度
という公式は基本的には変わらないと思ってます。
であるなら住宅会社として、
それをスピード重視でやっていくのか、
満足度を下げないようにしていくのか?
が、会社のスタンスにより如実に出てくるはずです。
ただし。
セミオーダーの方がフルオーダーより時間が短いのは確かだし、
質がほぼ同じだとしたら、
じゃセミオーダーの方が満足度が下がってるのか?というと、そうでもないんですよね。
「質」って言葉がすごく奥深いんだよなって、わかり始めました。
今の見解を表すなら、
時間 × 質(建物的な質+プロセス的な質+なにか)= 満足度
かなって感じなんですよ。
なにか、ってところがなんなのか?
私にもおぼろげにしか見えてません。
でも「なにか」があるって考えないと、つじつまが合わなくておかしいんですよね。
そこを、いま、一生懸命探してみてます。
たぶん、私たちの中には、その「なにか」があるような気がしてますが・・・
そこを大切にした家づくりをしていきたいなと思ってます。
今日も、
しあわせは、いつもの中にある。