おかげさまで創業110年
しあわせや 田尻木材株式会社 四代目半の田尻でございます。
今日のは、私の昔話です。
家づくりと関係あるようなないような、でもしあわせやという会社には、関係ある話。
たぶん、だけど・・・
昔、たぶん私が小学校に上がるかどうか位のことだと思う。
長野駅が、まだお寺みたいな形をしてた頃の話。
その頃まだ独身だった叔父は、よく私と幼い妹を遊びに連れてってくれた。
その日、なぜかよく分からないけれど、長野駅のそばにある、牛丼屋に連れて行ってもらった。
たぶん叔父が食べたかったのだ。
牛丼屋と言っても、大手チェーン店じゃないよ、オジサンがひとりでやってた個人店だったと思う。
「なに食べる?」
と聞かれても、そこは牛丼屋。
メニューに何があったか分からないが、食べたことのない牛丼を、私たちは食べるとは言えなかった。
しばらくメニューが決まらない時間が過ぎて、叔父も困ってたと思う。
そしたら、牛丼屋のオヤジはいきなりこう言い始めた。
「ね、じゃぁラーメン食べる??」
私たちがうなずいたのは当然のことだった。
そこで食べたラーメンの味は覚えてないんだが、
なぜかラーメンが外から運ばれてきたことだけは覚えてるんだな。
「なんでオジサンがつくらないんだろう?」
そのくらいのことは疑問に思える歳だった。
食べ終わってお会計の時・・・
いや、ラーメンって言ったときから、なんか叔父は申し訳なさそうな言動を繰り返していた。
でもそれがナゼなのかに氣がついたのは、相当あとのことだったと思う。
この出来事・・・たぶん45年くらい前のことだと思うけれど、なぜか私の記憶に残っている。
皆さんはもうお気づきだろう。
牛丼屋のオヤジは、幼い私たちのために
ラーメンの出前を取ってくれたのだ。
なんか会計の時にも叔父と払う払わないみたいなやりとりがあったので、
オヤジはラーメンを代金横流しで請求したのかもしれない。
申し訳なさそうな叔父の姿を覚えてる。
その日、そのあとどこに行ったとかは覚えていない。
あ、家に帰って「参っちゃった」と家族にぼやいていたな(笑)
私はこの話・・・当時そこで起こっていたことの意味は分かっていないのに、なぜか覚えていた。
話を家づくりに移そう。
家づくりにおいて、出来ることと出来ないこと、ってのがある。
なんでも無制限に要望を聞き続けるわけに行かないし、
仮にそんな事したらとんでもない額を請求しないといけなくなるから、
出来ることと出来ないことってのが、どこの住宅会社にもある。
例えば、フルオーダーだと出来るんだけど、セミオーダーだと出来ない、みたいな選択肢がウチにもある。
これは、お互いそれなりに合理的に家づくりをしていくために、ある程度は必要なルールだ。
しかし、この「合理的」ってのが、住宅会社都合にどんどん近寄っていくと、
まるでファミレスで食事を選ぶかのようなメニューブックから家を選んでいって、ハイ契約!となる。
それはそれで良いんだろうが、私たちの目指す家づくりじゃないんだよな。
家ってのは、安くしたって千万単位になる買い物だ。
無理はしちゃいけないが、しかし安いからって手軽に選んで
「失敗した~!!」
って悔やむには、金額がでかすぎる。
私はある程度の額をかけても、しっかりつくった方が、最終的な満足度は高いと思っている。
そういう家づくりをしているときに、
会社都合なルールをバサバサとやってくのって、どうなんだろう?
いや、ウチにもあるんだから、全部ダメじゃない。
ルールはある程度は必要だ。
やり過ぎ注意、ってことよ。
しかし、実際にはいろんな場面で、
この「やり過ぎ」ってどこなのか?どこまでやっていいのか?
って問題にぶち当たる。
そんなとき、私はいつも、この顔も覚えていない牛丼屋のオヤジの行動を思い出すんだよな。
叶えてあげられないことだってあるけれど、
でも例えそうだったとしても、出来るところで喜んでいただけるようにしたい。
そう考えてあげられるのが、私たちの良いところだと言い切れるようになりたい。
↑出来ているとは言わない。。。
今、あの店は、たぶんなくなってしまっている。
もし、あったなら・・・
行くだろうなぁ。
今度は牛丼を食いにね(笑)
あ、そうそう。
ってことで、
今日も、