地震大国である日本では、全国各地で地震が頻発しており、長野も例外ではありません。
近年は特に、今後首都直下地震や南海トラフ地震といった巨大地震のリスクが指摘されるなか、地震に強い家づくりは急務だといえるでしょう。
しかし、地震に強い家と弱い家の違いや、耐震性とは何か、詳細が分からず、どう対策すればいいのか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、地震に強い家の特徴や、構造の種類、家づくりでの工夫などについて、詳しく解説していきます。
これから長野で地震に強い家を建てたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
地震に強い家の特徴としては、以下の5点が挙げられます。
それぞれの詳細について、順に確認していきましょう。
地震に強い家は、正方形や長方形など、形状がシンプルである点が特徴的です。
家の形状がシンプルだと、地震が発生した際に、比較的揺れが建物全体に均等に分散されて、ダメージを最小化してくれます。
一方で、家の形状が複雑だと、揺れが建物の一部に集中してしまい、倒壊・損壊などのリスクが高まります。
そのため、耐震性の高い家づくりを目指すうえでは、なるべく形状をシンプルにすることが1つのポイントといえます。
具体的な地震に強い家の形・地震に弱い家の形については、後ほどあらためてご紹介します。
地震に強い家の特徴として、建物の上の方が軽い点も重要です。
物理的に、同じ大きさのものを比較した場合、より重い(質量が大きい)ものの方が大きく揺れます。
そのため、もちろん耐震対策の度合いによっても異なりますが、条件が同じである場合、地震が発生した際は、建物上部が軽いほど揺れが少なくなるといえます。
一般論ではありますが、平屋は、2階建て以上の家よりも地震に強いといわれています。
地震が起きた際、建物の背が高いほど、振り子の原理で大きく揺れます。
その結果、地震によって家具などが倒れたり、倒壊したりするリスクが高まります。
その点、平屋には地上階しかないため、2階建て以上の家と比べて相対的に揺れにくく、地震に強くなります。
さらにベタ基礎などを採用し、揺れに強い構造にすれば、地震被害への不安を最小限にできるでしょう。
地震に強い家を実現するうえで、建てる土地の地盤が強固であることも重要なポイントになります。
地盤がしっかりしていれば、地震による揺れが地盤に吸収され、建物に影響しにくくなります。
地盤の強さは、ある程度地域によって決まっているので、可能であれば地盤調査をしたうえで土地選びをしましょう。
また、希望する土地の地盤が弱い場合は、セメントを流し込んだり、コンクリートの柱を打ち込んだりして、地盤を強化することも可能です。
家が地震に強いかどうかを判断するポイントとして、築年数が新しいかどうかも重要です。
基本的に、築年数が新しければ新しいほど、最新の耐震基準に基づいた家づくりがされているので、地震に強いと考えて良いでしょう。
なお、耐震基準は1950年に制定された後、1981年に新耐震基準へと改正され、2000年にはさらに厳しい現行耐震基準が定められました。
そのため、中古で家を買う際などは、建てられた年がどの耐震基準の時期にあたるかを確認し、なるべく築年数が新しいものを選ぶと良いでしょう。
地震に強い家の構造としては、「耐震構造」「制震構造」「免震構造」の3種類が挙げられます。
それぞれの構造の詳細について、順に確認していきましょう。
耐震構造とは、家の強度を高めることで、地震の揺れに耐えられるようにする構造です。
具体的には、柱や壁、床などに補強材を使用したり、金具で接合部を強化したりします。
また、より耐震性を高めるために、家の壁全体を一体化させる耐震パネルを採用するハウスメーカー・工務店もあります。
制震構造とは、家の構造体に制震装置を取り付けることで、地震による揺れを制御(吸収)する構造を意味します。
制震構造で採用される装置の代表例としては、制震ダンパーや制震パネルなどが挙げられます。
制震構造は、地震の揺れ自体を吸収するため、地震発生時に家にダメージが及ぶのを予防できます。
しかし、耐震構造よりコストがかかるので、家の階数や構造などに応じて導入を検討することが重要です。
また、地盤が弱いと十分な耐震性が確保されないので、事前の地盤調査も欠かせません。
免震構造とは、家と地盤の間に専用装置を取り付け、地震の揺れを伝えにくくする構造です。
具体的には、地震発生時に家を揺れに同調させるアイソレータと、家の位置を正常に戻すためのダンパーが設置されます。
免震構造は耐震構造や制震構造よりも高コストですが、最も家の揺れを小さくできるので、高層階まであるマンションなどの集合住宅で多く採用されています。
地震に強いかどうかは、家の形によってもある程度判断が可能です。
ここでは、地震に強い家の形と、地震に弱い家の形それぞれについて、詳細を確認していきましょう。
地震に強い家の形は「四角形」です。
四角形が地震に強い理由は、揺れによる影響が各辺に分散され、一部に集中することを防げることにあります。
なお、正方形も長方形も地震に強いですが、正方形の方が特に地震に強いといえます。
また、四角形の家は6つの面が直交しているため、家としての頑丈さも保ちやすく、万一大型地震が発生した際も、リスクを最小限に抑えられるでしょう。
複雑な形をした家は、比較的地震に弱くなりやすいので注意しましょう。
たとえば、複数の四角形を組み合わせたような形だと、地震発生時に揺れが一部に集中し、家の倒壊などに繋がる恐れがあります。
また、開放感を優先するために、必要以上に壁や柱を取り除いた家も、地震に弱くなりやすいといえます。
ただし、複雑な形をした家であっても、耐震構造などの地震に強い構造を採用したり、強固な基礎の上に建てたりすれば、十分な耐震性を確保できるでしょう。
そのため、デザイン性が高くおしゃれな耐震住宅を建てたい場合は、技術力の高いハウスメーカー・工務店に依頼することが重要です。
地震に強い家を建てるうえでは、耐震等級についても知っておくことが重要です。
耐震等級とは、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づいて定められた、建物がどれくらい地震に強いかを示す指標です。
耐震等級は1~3の3段階に分かれていて、数字が大きくなるほど地震に強いことを意味します。
各等級の詳細について、以下で順に確認していきましょう。
耐震等級1は、現在の建築基準法と同程度の耐震性を表します。
具体的には、以下の2点が基準になっています。
耐震等級1は、これから家を建てるにあたって、最低限満たすべきとされる耐震性です。
そのため、より安心して暮らせるマイホームを目指すなら、より高い耐震等級を満たすことが推奨されます。
耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられるだけの耐震性を意味します。
長期優良住宅では、耐震等級2以上での家づくりが認定条件の1つにもなっています。
また、災害発生時の避難場所になる学校などの公共施設では、耐震等級2を満たすことが必須だとされています。
耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍程度の地震に耐えられる耐震性を表します。
現在定められている耐震等級で最も高いレベルであり、有事の際に重要な消防署や警察署は、たいてい耐震等級3を満たしています。
地震大国である日本において、いつどこで大型地震が発生するかは分かりません。
そのため、万一の際の被害を最小限に抑えるためにも、なるべく耐震等級が高い家か、もしくは耐震等級3の工法に相当するレベルでの家づくりをおすすめします。
ここでは、地震に強い家を実現するためにできる代表的な工夫を、厳選してご紹介します。
地震に強い家にするための工夫として、まずは軽量で高強度の建材を使うことが挙げられます。
一概に言えませんが、同じ工法・構造である場合、家の上部が重くなると地震による揺れが比較的大きくなるので、なるべく軽量の建材を使うことで、揺れを最小化できます。
また、単に軽いだけでなく、耐震性に優れた耐震パネルなどを採用すれば、家の耐久性を大きく向上させられるでしょう。
地震に強い家を目指すうえで、間取りのバランスにも工夫が必要です。
たとえば、地震による揺れが分散しやすいように、柱や壁などの配置を工夫することがポイントになります。
また、耐力壁を設置したり、柱や梁の太さにこだわったりすれば、自由度の高い間取りを実現しつつ、耐震性を十分に高めることができるでしょう。
地震に強い家づくりの工夫として、強固な基礎の採用も欠かせません。
地盤が強固であればあるほど、地震の揺れが家に伝わりにくくなりなります。
具体的には、ベタ基礎や杭基礎の採用が効果的です。
特にベタ基礎は、基礎全体を面で支えるので、一部に負担が集中することを抑えられます。
また、床下の土部分からの湿気もカットでき、シロアリ被害なども予防できます。
地震に強い家を実現するには、耐震・制震ダンパーの導入も視野に入れると良いでしょう。
耐震・制震ダンパーは、地震による揺れを吸収してくれ、家の変形も予防してくれます。
耐震・制震ダンパーは、マンションなどの集合住宅では広く採用されているものの、注文住宅ではまだ採用例が少ない状況です。
しかし、いつどこで大型地震が発生するか分からない状況では、注文住宅でも採用することで、更なる安心を得られるでしょう。
なお、耐震・制震ダンパーが導入できるかは、施工を担当するハウスメーカー・工務店によって異なるので、依頼前に確認しておくことをおすすめします。
工法にも大きく左右されますが、一般的には以下の順で地震に強いとされています。
鉄筋コンクリート(RC)造 > 鉄骨造 > 木造
しかし、建築コストもこれと同じになるので、多くの家は木造で建てられています。
木造であっても、工法の工夫により、十分な強さを確保できるようになります。
阪神淡路大震災以降の建築基準法の改正により、木造戸建ての耐震性は大幅に高まっているのです。
地震に強く、長く快適に暮らせる木造の家を建てるのであれば、 ”木材” の特性や耐震性能を理解した、信頼できるハウスメーカー・工務店に依頼するようにしましょう。
長野で数多くの注文住宅を手掛ける「しあわせや田尻木材」では、耐震・耐久性向上のための取り組みを実施しております。
出典:平屋住宅工房(田尻木材)
まず、基礎については、基礎全体に十分な鉄筋を配した頑丈な鉄筋コンクリート造ベタ基礎を採用し、建物全体をコンクリートの底板全体で受け止めて重量を分散し支えます。
そして、基礎工事は基本的に、仕様よりも現場の職人の腕に左右される部分が大きいため、信頼できる選びぬかれた職人が工事を行っています。
特に力のかかる基礎上下端には、一般的な配筋に比べて配筋量を”2倍”に増やし、建物をしっかり支えています。
出典:平屋住宅工房(田尻木材)
しあわせや田尻木材の手掛ける注文住宅では、品質の高い国産木材を使用しています。
そして、耐震等級1に必要な耐力壁の量が「1」だとすると、耐震等級3に必要な壁量は「1.5」ですが、しあわせや田尻木材では、それを上回る耐力壁「2」を目安に設計しています。
出典:平屋住宅工房(田尻木材)
壁の工法については、家の壁全体を一体化させるゆがみに強い耐震パネルを用いて、木造在来工法と2×4工法のいいところ取りをした方法を採用しています。
これによって地震に強くなると共に、気密性能も高まって断熱性能も向上するというとても優れた工法です。
出典:平屋住宅工房(田尻木材)
こうした耐震パネルのほか、さらに横からの水平力やねじれに強い剛床を駆使することで、地震に強い家を実現させています。
出典:平屋住宅工房(田尻木材)
また、地元工務店ではまだ採用例が少ない耐震・制震ダンパーを標準採用しております(平屋及び一部商品を除く)。
しあわせや田尻木材で採用している「Kダンパー」は、国土交通大臣の認定を受けたもので、壁倍率最大3.3倍の耐震性、最大76%の建物の変形軽減が得られます。
長野で地震に強い家を建てたい方は、私たち「しあわせや田尻木材」にぜひご相談ください。
最後に、しあわせや田尻木材が手掛けた、地震に強い新築住宅の実例を2つご紹介します。
これから地震に強い家を建てようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
こちらは、ゆるやかな傾斜地に建てられた、白い外壁がおしゃれな印象の新築住宅です。
広々としたLDKには、南に面した窓からたっぷりの陽光が降り注ぎ、明るい空間に仕上がっています。
デッドスペースになりがちな階段下には、小さなベンチを設置して、大人も子どももくつろげるヌックスペースにしています。
こちらは、自然に囲まれた立地に建てられた、ブラウンの屋根と白い外壁が南欧風でおしゃれな新築住宅です。
白を基調としたLDKには、柔らかな木目の木材を採用し、ナチュラルな印象に仕上がっています。
キッチンからWIC、水回りへと続く動線がスッキリし、平屋ならではのフラットで快適な生活が実現します。
今回は、長野で地震に強い家を建てたい方へ向けて、耐震住宅について詳しく確認してきました。
地震大国である日本では、今後いつどこで震度7などの大型地震が起こるか分かりません。
その際、自分自身や家族の身の安全を確保するためには、家を建てる際には高い耐震性を確保することが重要です。
今回ご紹介したことを参考にして、地震に強く快適なマイホームを実現させましょう。
田尻木材では「日本でいちばん素敵な笑顔が集まる工務店」を目指し、長野県で1世紀以上にわたり、数多くの新築・リフォームを手掛けてきました。
地震に強い家づくりに関するご相談も承っておりますので、長野県で新築住宅をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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